ミラドライ専門のCLINIC N(クリニックN)東京銀座から、ミラドライ診療に関するミラドライ認定医院長のブログ第64号です。
「ワキガの遺伝・遺伝子について(前編)」のブログでは、ワキガの原因遺伝子のお話を書きました。正確には、耳垢が湿っているか乾いているかを決める遺伝子です。今回のブログはその後編になります。ワキガに原因遺伝子があるとして、なぜその遺伝子の違いが脇のにおいの違いに繋がるのか?というお話になります。
耳垢の湿型・乾型を決めるのは、ヒトの16番染色体上にあるABCC11遺伝子の中のとある一塩基多型が原因であるというお話でした。
DNAの塩基配列がTACTCGGGCCAと並んでいるところの太字にしたGのところで、両親から遺伝子を1本ずつもらうので、GG(両親共からGを譲り受ける)またはGA(片親からG、もう片親からA)だと耳垢が湿型、AA(両親共からAを譲り受ける)だと乾型になるというお話でした。Gが優性でAが劣性というお話でした(GAだとGのほうの特性が表出するということです)。並んでいる塩基3つが1セットになり、暗号のようになりアミノ酸が作られますが、GGGだとグリシンというアミノ酸が作られ、AGGだとアルギニンが作られます。作られるアミノ酸が異なれば、アミノ酸の配列から作られるタンパク質の性質も変わってくるというお話でした。
ABCC11遺伝子は、ATP-binding cassette protein C11(ATP結合カセット)というたんぱく質を作ります。細胞を囲う膜のところに貫通しながら存在しているタンパク質の一種で、ATP(アデノシン三リン酸)をいう物質から得られるエネルギーで細胞内のいろいろなものを細胞外に輸送する働きをしています。(生物で習ったことがあるかもしれません。難しい話になってきていますが、しばしお付き合いください。)
GG、GAタイプの方のATP結合カセットC11タンパク質は、よりアポクリン汗腺からの分泌を促すのではないかと考えられています。
細胞内の核の中に、ABCC11の遺伝子がありますが、この遺伝子からATP-binding cassette proteinC11タンパク質がつくられる際は、まずメッセンジャーRNA(mRNA)というものに転写されます。mRNAは核から出ると、mRNAの情報からタンパク質が作られます(翻訳)。生成されたタンパク質は、GGやGAタイプの方の場合は、小胞体(ER)の中でオリゴ糖が添加されます。
AAタイプの方の場合、作られたタンパク質にオリゴ糖が添加されずにタンパク質は細胞内で分解されていきます。
GGやGAタイプの方の膜輸送タンパク質はオリゴ糖が添加された後、においの元となる細胞内の物質を包み込んだ上で、管腔に分泌されていきます。
つまり、オリゴ糖が添加されないと、膜輸送タンパク質として上手く機能せずに分解されてしまうということです。
(出典:Earwax, osmidrosis, and breast cancer: why does one SNP (538G>A) in the human ABC transporter ABCC11 gene determine earwax type? Toyoda Y, et al.
FASEB J. 2009 Jun;23(6):2001-13. doi: 10.1096/fj.09-129098.
ABCC11から作られるタンパク質の安定化にはオリゴ糖結合が重要なことから、この部分が阻害できれば、ワキガ(腋臭症)を改善できるのではないかという考察がなされていたりします。または、その部分を阻害するような作用を持つ制汗剤のようなものが開発できるのではないかという考察です。しかしながら、上記メカニズムが解明されたのが2009年と考えると、15年経過した現在で特にそのような製品が出てくる気配を感じないとすると、なかなか実現化は難しいと思われます。
このような話を聞くと、アポクリン汗腺の中で、既に作られたものが出てくるところをターゲットポイントとして抑えるというより、ミラドライのような機械で、作られる場所自体(=アポクリン汗腺のある領域自体)を焼いてしまうというほうが手っ取り早いと、日々ミラドライを行っている身としては思います。作られた後のことを心配するよりも、作られないようにすればよいだけということです。
やや一般の方には難しいお話だったかもしれませんが、いかがでしたでしょうか?
前編をまだお読みでない方は前編のブログも是非ご一読ください。
文責:院長・管理医師 小川直美
(無断転載はご勘弁ください。)
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切らないわきが・多汗症治療
マイクロ波で汗腺を焼灼
治療回数通常1回 自費診療 292,500円税込~428,560円税込
副作用:治療部位の疼痛腫脹皮下出血・感覚の変化等
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