この度当院では、ミラドライ術後のお痛みを軽減する目的で、長時間持続型局所麻酔薬のEXPAREL(エクスパレル)麻酔を導入いたしましたことをお知らせいたします。
ミラドライは切らないワキガ・多汗症治療であり、剪除法などの外科手術よりはダウンタイムは軽くなりますが、それでも当日~翌日の朝はそれなりに痛みが生じます。両脇の皮下全面に火傷を作っているような治療ともいえ、火傷の時のような痛み(ジンジンという形容が多いです)が発生します。
EXPAREL(エクスパレル)は、長時間持続型局所麻酔薬です。ブビパカインという局所麻酔薬がリポソーム(カプセルのようなものと想像していただいて良いと思います)に閉じ込められていて、そのリポソームが徐々に崩壊していくため、中に入っている麻酔も徐々に放出されるというものです(図参照)。蜂の巣状の構造をしてるリポソームが少しずつ壊れていきます。
麻酔薬が徐々に放出されるため、麻酔の効果が72時間持続すると言われ、術直後の痛みのひどい時を乗り越えやすくなるとされています。術後の疼痛がゼロになるわけではなく、軽減するというイメージです。(米国の臨床試験ですと外科手術後などで使用され、オピオイド(モルヒネなど麻薬の鎮痛薬)の使用量が減ったなどの効果が言われていたりします。)
これをミラドライの照射後に脇に注入していきます。注入時は照射前に行った局所麻酔がまだ効いていますのでお痛みはないと思います。
エクスパレル麻酔は、米国FDAで手術後の部位への局所麻酔薬として承認されており、
2012年から1500万人以上に使用されています。
日本でも全国各地の美容外科で様々な美容整形手術の術後疼痛軽減のために広く使用されています。ミラドライ施術後の痛みにおいても、大手美容外科をはじめとして日本全国複数のクリニック様で使用されています。
副作用としては悪心・嘔吐、便秘、頭痛、発熱などがあります。
エクスパレス麻酔は以下の方へは使用できません。
・肝臓のご病気や肝機能の数値に異常のある方
・麻酔アレルギーのある方
・ミラドライは妊娠の可能性がある方や授乳中の方は元々できませんが、エクスパレルも妊娠中・授乳中の方はできません。
エクスパレル麻酔は、術後の痛みにご不安な方、お痛みに弱い方へのものになりますので、当日や翌日などにお仕事や家事などで無理をするために使用するものではございません。また、無理をされると創傷治癒が遅くなります。
主旨をご理解いただいてのご利用をお願いいたします。
ご利用条件ですが、
・26歳以上の方
・BMI 19以上かつ体重45㎏以上の方(当院でも計測したりします)
・ドアtoドアで2時間以内にクリニックからご自宅にご帰宅可能な方
・当日はもちろん、翌日も外出するようなお仕事のご予定がない方、重めの家事や重い物を持つことをしなくて済む方
・術後当日、翌朝まではご家族などどなたかが同居されている方(必ずしも施術について知らせておく必要はないですが、万が一何か異変がおきたときにご本人お一人だけというよりは誰かの助けを得られやすい環境の方)
ミラドライでは、マイクロ波照射前の局所麻酔で既に結構な量の局所麻酔薬(キシロカイン)を使用していますので、徐々に放出されていくとはいえ、さらに局所麻酔薬を加えていくというのは、局所麻酔薬の副作用(局所麻酔薬中毒を含む)がやや出やすくなる状態にはなると思われます。しばらくは、当院では上記条件を設定させていただきます。
EXPAREL (bupivacaine liposome injectable suspension)
日本では未承認の薬品になりますが、米国FDAより手術部位の術後局所麻酔薬として承認を受けています。
同一の成分や性能を有する国内承認された医薬品等は存在せず、メーカーの米国Pacira Pharmaceuticals, Inc.からの医師の個人輸入になります。
副作用としては悪心・嘔吐、便秘、頭痛、発熱などがあります。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
CLINIC N(クリニックN)東京銀座